フィンランド発の育児キットが世界中で流行るわけ

以前テレビで「フィンランドの妊婦さんは国から無償で出産セットをもらえる」という放送をやっていた。

この制度はすでに75年以上も前からあり、新生児に必要な衣類やおくるみ、よだれかけ、毛布、おむつやその他必要な育児用品を一つの箱にまとめて送ってくれるというもの。
 
 

かつてフィンランドは世界でも幼児死亡率が極めて高い国だったらしく、この出産セットと併せて出産育児に関わる情報提供やサポートを行うことで幼児の死亡率を減らそうというのが狙いだったようだ。

 
この制度も手伝って乳幼児の死亡率は 1000人中65人(1938年)から1000人中3人(2013)まで 激減。
 

ちなみに乳幼児の死亡事故の原因の大半は「添い寝」といわれている。 

そんなフィンランド発のこの制度、最近は日本でも購入可能になったし、世界でも注目を浴びている模様。せっかくなのでどんな国で実践されているか調べてみた。

カナダ

カナダでは2016年よりこの制度が本格的に始動。
対象者は18歳以上の第一子出産予定の妊婦さん。
 
ボックスにはよだれかけ、おむつ、バスタオル、ロンパース、ベビーローション、母乳パッド、おもちゃ、シャンプー、体温計などが入っている。ただこのカナダバージョンでは、ボックスそのものは赤ちゃんのベッドにはならない模様。(中身を重要視しているとのこと)

なお、このボックスの提供元はアメリカにあるThe Baby Box.coという会社。

スコットランド

スコットランドでは、2017年1月にこの制度を開始するとアナウンスがあったばかり。

同年にボックスのデザインコンテストが行われ、Leanne Youngさんという女性が優勝した。
 
Leanneさんはグラフィックデザインを勉強中の大学生。

http://www.parentclub.scot/baby-box

Leanneさんがデザインしたボックスは、同年の夏から既にプレママへ発送がスタートしている。
 
中身は赤ちゃんの衣類のほか、体温計、おもちゃ、水温系、絵本、爪ヤスリ、スタイ、オムツ替え用マットなど盛りだくさん。
デザインもシンプルだけどさすが北欧デザイン、とても可愛かった。
 
 

イギリス

国からの無償提供という制度は見つからなかったが、ビジネスとして成り立っている模様。デザインはとても可愛い。

インド

こちらも国や州規模では見つけられなかったが、チャッティースガル州(どこだ?)のとある病院では、0歳児の死亡事故を防ぐべく、フィンランドにならって独自のベビーボックスを販売している模様。
 

この州の0歳児の死亡率は極めて高く、1000人中50人といわれている。(ちなみにアメリカは1000人中6人)

価格は約35ドル。おむつや毛布、スリーパー、ベビーバスやシャンプーなどは入っている。インドでいう35ドルって結構高価な気がするなぁ。

インドは例年モンスーンによる洪水被害が絶えないらしく、万一の災害に備えてプラスチック製で出来ているとのこと。

日本

千葉県浦安市では、2014年より特定の期間に育児相談を受けた妊婦さん(または経産婦さん)を対象に、マザーズバッグや赤ちゃんの衣類をプレンゼントしている。さすが夢の国と共存する街、素敵なはからいだ。

カバーオール・2WAYオール:60〜70cm、Tシャツ・モンキーパンツ:70~80cm、靴下:9~11cmなどが含まれており、毎年若干がデザインが異なるらしい。マザーズバッグはROOTOTE(ルートート)とコラボしているとか。

 

ビジネスチャンスも大きい市場

ということで、気の向くままランダムに情報を集めてみた世界の出産ボックス事情。
国や自治体での無償提供といった制度はまだまだ発展途上のようだが、あちこちの国でビジネスとしてはかなり定着しているように感じた。それだけ需要があるということなのだろう。
 
アメリカではThe Baby Box.coという企業が、市民への無償提供を目的に政府と協議している模様。
カナダ市民への無償提供にも協力しているし、既に10カ国以上と話を進めているとか。
 
ボックスの中で新生児を寝かせることが乳幼児の死亡率を激減されているデータも手伝って、今後さらにこのボックスは世界中で広がりそう。
 
浦安市のように日本でももっとこの制度が広がると良いですね。
以上、世界の出産ボックスに関する記事でした。