どうも。2018年に地震と大雨に見舞われ、胃を痛めた筆者です。
2018年の西日本豪雨、関西に住んでいた方なら覚えている人も多いんじゃないかな。
おそらく数十年に1度の記録的豪雨だったかと思う。
筆者もちょうどこのとき、実家のある西日本に息子を連れて帰省していた。
まさかこのあと平成最大の大雨の危機に見舞われ、頑なに避難しない実家の両親と言い争いになるとは夢にも思わず…。
ということで今回は大雨などの自然災害時の
・避難指示〜川の氾濫までの我が家のケース
・いかに頑固者への避難の説得が難しいか
・今後すべき対策
などの経験談を記事に残しておこうと思う。
西日本豪雨とは
西日本豪雨について知らない方もいるかもしれないので基本情報を少し。
平成30年7月豪雨(へいせい30ねん7がつごうう)は、2018年(平成30年)6月28日から7月8日にかけて、西日本を中心に北海道や中部地方を含む全国的に広い範囲で発生した、台風7号および梅雨前線等の影響による集中豪雨[2]。同年7月9日に気象庁が命名した[2][3]。別称、西日本豪雨[4]。
wiki
死者263名、負傷者484名、住家の全壊6783棟、半壊1万等以上、床下浸水2万棟以上と甚大な被害をもたらした。
筆者が当時滞在していた地域のケース
まず、筆者がどんな実家に帰省していたかを簡単に説明しておこうと思う。
実家は一言でいえばかなりの田舎。家の向かいは車道を挟んで川が流れており、川の隣は小山。
山は比較的傾斜があり、土砂崩れ対策はされていない。
川は二級河川で、川幅は約5メートルと狭め。
実家は二方を田んぼに囲まれているが、埋め立てた土地ということもあり1mほどかさ上げしてある。
川の両サイドは全てではないがコンクリートで固めてあり、普段の水位なら2メートルほど余裕がある。
と、こんな感じの実家でどのような災害が起こり、どのような対策を行ったか。(結局何もしてないんだけど)
以下に経過を残す。
※時間は厳密なものではなく、おおよその目安です
PM 16:00:避難勧告(下流)
激しい雨が降り続いて2日目の夕方、下流のほうで避難勧告発令。
この辺りの地域では珍しいことではなく、我が家を含め近所の方も「まぁよくあることだから」とあまり気に留めなかった。
目の前の川の水位は6割増といった感じ。
AM 0:00:特別警報発令
日が変わるころに、特別警報発令。
特別警報とは、警報・注意報より上のレベルで、気象災害の警戒を呼びかけるもの。
特別警報レベルの災害例:
・東日本大震災(死者18,000名)
・伊勢湾台風(死者・行方不明5,000名)
・平成23年台風12号(死者・行方不明100名)
が、筆者も含め実家の両親もあまりこの警報に対する認識がなく、
「特別警報?いつもより雨激しいからなぁ」なんて呑気なものだった。
言い訳だが、この特別警報は2013年8月に制定され、制定後西日本で発令されたのはわずか2回。恥ずかしながらよく知らず、甘く見ていた。
2024年追記:
ちなみに気象庁の「5段階の警戒レベルと防災気象情報」によると、特別警報は危険度レベル最大の5に該当し、「避難指示」レベルとなる4よりもさらに1段階上の扱いとなる。
※今回の西日本豪雨のケースでは、ほぼ同じタイミングで特別警報と避難指示が出されていた
AM 0:30 避難指示
特別警報に続き、避難指示が発令。街灯もほとんどない、暗闇が続く田舎町に聞きなれないサイレンと町内アナウンスが響く。
アナウンス:
「大雨により、甚大な被害が予想されます。ただちに避難情報に従い、命を守ってください。繰り返します….」
え….これやばいよね….?
窓から川の様子を見ると、すでに堤防ギリギリのラインまで来ている。
雨雲の様子やこれからの雨量の予測をチェックするが、明日もしばらく降り続く様子。
外は変わらず叩きつけるような激しい雨。とても雨脚が弱まるとは思えない。
同じようにサイレンで目覚めたらしい実家の両親へ避難を促すことにした。
このままじゃ川が氾濫するよ。避難しよう!
しない。
ファッ!?
この雨の調子なら大丈夫。経験で分かる。
け、経験?でも特別警報も避難指示も出てるけど….
大丈夫だって。私も床下浸水の経験はあるし。
この家土砂崩れの危険もあるんだけど。ほら、ハザードマップ見て。
(見ない)大丈夫!!心配しすぎ!
ええぇ〜〜…….
自分は車を持っておらず、避難するとすれば親の車のみ。
避難所まで歩ける距離ではない。タクシーなんてこんな状況じゃ呼んでも来ない。。
父は「大丈夫」と言うわりに全く寝る気配もなく、数分おきに窓から川の様子を眺めている。
AM 3:00 河川氾濫
深夜3時ごろ、自宅前の川が氾濫し始める。
こうなってはもう避難を試みるほうが危険だ。ただ、なすすべもなく事を見守るしかない。
さらに1時間後。
川の水が自宅周辺の田んぼへ流れ込み、逃げ場がなくなってゆく。
道路は流木と川の泥水で完全に寸断された。
ようやく慌て出す実家の父と母。車をわずかでも高い位置に移動させようとしたり、床下浸水に控えモノを動かし始める。
この時は本当に体が震えたし、命の危険を感じた。
己の経験のみで避難指示に従おうともしない両親にもう言葉も出なかったが、自分も20時の特別警報の時点でもっと危機感を持つべきだった。
AM 5:00 水位落ち着く
さらに約1時間後、夜明けとともに若干雨脚が弱まり僅かに水位が下がり始める。
峠は越したようだった。
た…助かった…..
あと数時間でも雨が降り続いたら?川の隣の土砂が崩れたら….。
どうなっていたかと思うとゾッとする。
「自分は大丈夫」が一番危ない
広島県の調査では217万人を対象に避難勧告および避難指示を出したが、実際に避難した方は全体のわずか0.3%という。
なぜ避難しないのか。
我が家の場合、
・特別警報、避難指示に対する認識の甘さ
・自分は大丈夫という正常性バイアス
・「経験」による過信
などが原因かと思われる。
2階まで浸水し、救助された女性がニュースで言っていた。
「逃げようと思った時には手遅れだった。」
「まさか自分がこんな目に遭うとは思わなかった」
筆者も「避難しなければ」と思うまでに随分時間が掛かったし、頑なに「大丈夫」と避難を拒む親の説得も結局できないままだった。経験と言う名の過信は怖い。
【100回逃げて 100回来なくても 101回目も必ず逃げて!】「なんだ空振りか」「予定変えて損した」ではなく「空振りで良かったね」「何も起きなくて良かったね」「次も逃げようね」この積み重ねがいざという時に命を守ることにつながります。空振りは素晴らしいことです👍#台風21号 #避難勧告 pic.twitter.com/AoFOOMoZMW
— 人が死なない防災 (@bosai_311) September 3, 2018
このポストにもあるように、とにかく早めに行動に移すこと。
結果何もなければ「良かったね」。それが一番だと思う。
以上、何かの参考になれば幸いです。
*写真は災害写真データベースからお借りしたものです。