海外のママに聞いてみた:自然・無痛分娩どっちにした?

前回の記事では、海外の親御さんたちに保活状況について質問してみた。
今回は世界のママたちに「自然分娩か無痛分娩、どちらで出産した?」という質問をすることにした。

質問する前にちょっと予備知識。

無痛分娩で出産する人の割合

フランス…80% (経腟分娩中、2010)
アメリカ….61%(経腟分娩中、2007)
ノルウェー…26%(全分娩中、2005)
イギリス…23%(全分娩中、2006)
ドイツ…18% (全分娩中、2002)
シンガポール…16% (全分娩中、1997)
日本….6.1% (全分娩中、2016)

データが一部古いので、実際はもっと増えてるかも。
参考:http://www.jsoap.com/pompier_painless.html

 

無痛分娩のいろいろ

一言で無痛分娩といっても、方法は様々。

http://www.tanaka-wc.com

1.Epidural エピデュラル (硬膜外麻酔)「無痛分娩」のなかで最もメジャー

2.Spinal Block…脊髄くも膜下麻酔….硬膜より奥の腰椎に刺す。帝王切開など短時間の手術で使われることが多い。

3.モルヒネや笑気ガスなど。副作用については賛否両論あり。

いざ質問

ということで前回と同様、海外で有名な掲示板サイト「Reddit」 というサイトで質問してみる。

自然分娩にしましたか?無痛分娩にしましたか?

 

しばらく待ってみると、ポツリポツリと返信が。

回答はおおまかに分けると、
・無痛分娩にしたかった
・自然分娩にしたかった
・自然分娩にしようと思ったが、途中で無痛に変更
・どちらも体験した

といったものだった。

以下、訳したものを残す。

無痛分娩派

無痛で2人出産したけど、絶対無痛をおすすめする。落ち着いて呼吸して、いきむことだけに集中できるしね。導尿されるのがちょっと嫌だったけど。

麻薬も使いました。リラックスして出産に臨めたし、2人目も絶対この方法でやりたい。

アメリカでは陣痛中にモルヒネなど使うこともあるらしい。

1人目は胎盤剥離で痛み止めが使えなかった…死ぬほど痛かった…。
2人目は無痛分娩できたけど、無痛分娩は効率的にいきめないから時間がかかる場合があるってお医者さんが言ってました。

無痛分娩だと分娩に時間が掛かる、また吸引分娩が増えるという説があるが、医学的な根拠があるわけではないらしい。

無痛分娩にしたかったけど、モルヒネである程度痛みが和らいだから、エピデュラルはしなかった。でも体の感覚が残っているほうがいきみやすかたし、結果的には良かったかな。

エピデュラルでの無痛分娩でも、「感覚が全くなくなる」ということは無い..とは思うけど。

絶対無痛にしたかったけど、ハイリスク妊婦だったから結局帝王切開になった。
痛み止めなしで経験しうる史上最悪の痛みって出産だと思う、私は…

エピデュラルじゃないけど、うちは笑気ガス(亜鉛華酸素)を使いました。(イギリス)

-なんでイギリス人は笑気ガス好きなんだろう…赤ちゃんへのリスクがあるのに。Epiduralの方がよっぽど安全だよ。(アメリカ)
-ガスは羊水に達しないよ!Epiduralは硬膜に注射するだけ十分リスクがある。(イギリス)
-いやいや笑気ガスは母体の全身にすぐ回るし、羊水にも回る。(アメリカ)

ちょっと揉めてた。

イギリスでは笑気ガスを用いた出産も珍しくないらしい。アメリカではあまりメジャーではなく「血液への溶解度が高く、母体に影響が出るから危険だ」と思う人もいるようだ。下の写真は笑気ガスを利用している様子。

 

自然分娩派

Embed from Getty Images

薬漬けになると赤ちゃんに影響が出るんじゃないかと思って、自然分娩にしました

薬の種類によって副作用がある/ないは賛否両論ある模様

1人目は帝王切開、2人目は自然分娩で産んでみました..が、1人目の帝王切開に比べると産後体はボロボロ、回復に時間がかかり大変だったので、3人目は無痛分娩にします。

病院も注射の針も怖いし嫌い。チューブで体を繋がれるのも嫌だし、自然な形で産みたかった。結局なかなか産まれなくて、病院から麻酔をオファー指示がでたけど…

エピデュラルの場合、点滴・自動血圧計・分娩監視装置・排尿のための膀胱留置カテーテルにつながれ、食事もできない。

ベッドに縛られるのが嫌で自然分娩にしました。点滴からの痛み止めも断りました。でも笑気ガスはちょっと興味があったかな…。アメリカじゃあまり聞かないけど。

自然分娩にしました。理由は…うまく言えないんだけど、ただ経験してみたかったというか、自分の体を信じてみたかったというか。次も自然分娩にするかな。まぁ、安産だったから言えるんだけどね。今度もう無理!と思ったら途中で無痛分娩に変更するつもり。

自分の感覚を薬でコントロールされたり、ベッドに縛られるのが嫌だったから自然分娩にしました。別に誰かに言われたわけじゃなく、自分で選んだだけ。

助産院で出産したので自然分娩です。なるべく薬を使いたくなかったから。ただ出産までに27時間以上かかったら病院に搬送する予定だったみたい。必要なら無痛になっても全然良いよ。

日本では陣痛が長引いたら誘発剤を使うことはあっても、無痛に変更という例は少なそう。

と、意外と「注射やら怖いので自然分娩の方がマシ!」という方もいた。
エピデュラルはいろんなチューブに繋がれて体も思うように動かない、食事もできないというストレスを懸念している人が多かったが、最近はWalking Epidual?といってその名の通り無痛でも歩けるものも存在するらしい。

自然分娩派だけど途中で変えた

Embed from Getty Images

最初は自然分娩にしようかと思っていたけど、結局つらくて無痛にしました。出産して最初の数日はまともにねれなかったから、麻酔で少しでも体力を温存できてよかった。

自然分娩の予定だったけど、あまりに時間がかかりすぎるし痛いし嫌になったので途中で無痛分娩をお願いしました。

自然分娩にしたかったんですが、34時間も陣痛が続いて…つらすぎて無痛に変えました。
 いや本当に我ながら良い決断だった。2人目は絶対無痛にする。

ドイツです。大抵のひとは最初自然分娩を選ぶけど、状況によって無痛にするか選びます。私は痛みに耐えすぎて疲労困憊だったので、途中で麻酔をお願いしました。おかげで少し休めたて体力を回復することが出来た。

自然分娩でまずトライして、途中からやっぱりつらいので無痛に変更というパターンは割と見受けられた。
筆者はそもそも無痛に対応していない病院だったので、臨機往返に対応出来る病院が多いのが羨ましい。

どちらも体験してみた

Embed from Getty Images

1人目は静脈注射で痛み止めを少し、2人目は自然分娩で。
痛み止めを使ったあとは眠くてめまいもしたから、2人目の自然分娩の方が私はマシだったかな。どっちも安産だったからどちらが良いとは言い難いけど。でも無痛分娩の注射は怖い。

1人目はジアモルヒネ(ヘロイン)を使って、痛みが少し和らいだ。2人目はあまりにスピード出産で薬をもらう時間はなかった。

 

無痛分娩に対する意見

ちなみにこんな質問も合わせてしてみた。

日本では無痛分娩に対して「痛みを乗り越えてこそ母」「自然分娩のほうが愛情あるママになれる」「楽している」といった意見があるようです。どう思いますか?

「どうって…理解不能」という回答がたくさん来た。

人がどう思おうが私は私。自然分娩の方が良いママになれる?よくわからない理論だね。

無痛分娩しようとする女性に対して「情けない」とか「痛みを乗り越えろ」とか意見する意味が全く分からない。もし知り合いが頭痛持ちで薬を頻繁に使っていたとして、それを「情けない」なんて思う?基本的には同じことだと思うけど。

なんで痛みに耐えたら良いママになれるの?すでに10ヶ月お腹で赤ちゃんを大事に育ててきてるのに。じゃあ、パパは出産しないから「よいパパ」は存在しないってこと??人がとやかく言うのは無視したらいいよ。だって関係ないし。

妊娠中に知り合いが「自然?無痛?」と聞いても何もコメントしなかったよ。
 無痛にするかどうかは担当医と私が決めること。赤ちゃんが幸せで健康でいられるならどんな方法でも構わない。

無痛分娩を選択ができるかどうかは、人道的に配慮されるべき問題だと思う。
 リスクが少なく、痛みを軽減するための方法を女性に与えるのは、女性の尊厳を守る、あるべき基本的な人権だと思うよ。

自然か、無痛分娩かで親としての能力が変わる訳がない。「痛みに耐えられないなんて情けない!楽したいんだね」と言われたら、
「じゃああなたは抜歯するときは麻酔しなくて、足を骨折しても松葉杖も車椅子も使わないんだ?」と聞くよ。そのくらい馬鹿馬鹿しい質問だもの。

麻酔医不足のせいで、避けられるべき痛みを避けられないというのはつらいね。。

まとめ

ということで様々な意見があった無痛分娩と自然分娩。

2017年6月に報道された「京都の産院における無痛分娩時の施術ミス問題」などから、日本では無痛分娩のリスクを問う記事をよく見かけるが、今回回答してくれたママたちからは「危険だから自然分娩にする」といった意見は見受けられなかった。(たまたまかもしれないが)

今回返信して頂いた70件以上の回答見る限り、無痛か自然分娩かはもはや「胃カメラは鼻から入れる?口から入れる?」レベルの議論に聞こえたし、「麻酔医が足りない」「医療費が高くつく」といった問題がいかに日本特有のものかがよく分かった。
(フランスは公的病院であれば無痛でも全額無料となり、ほぼ24時間対応可能だという)

筆者は里帰り出産だったこともあり、無痛に対応している病院は全くなかったため自然分娩一択だった。
出産に限らず、育児や仕事、日常的なことにおいても自分の意思で「選べる」状況下というのは、人に心のゆとりを持たせ、そのゆとりが他者への配慮や心遣いに繋がるような気がした。

以上、またなんか聞いてみようと思います。

ソース:https://redd.it/6x5dre
※意訳です。